フィジー自然体験実習・2006後半日程報告

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9/11

 11:00スバ(ナウソリ)行きAir Fiji PC150に搭乗。いつもの飛行機よりもかなり小さい。17人の乗客がすし詰め。双発のレシプロ機。最大積載量が2トン足らずの小さな飛行機なので、不安になる。搭乗券はなしで、ゲートを出たところで係員が乗客のチェックをした上で、座席番号を告げるので、それを確認して搭乗する。だが、僕の注意を聞いていなかったのか、理解していなかったのか、学生の大半が座席番号を聞き漏らし、搭乗口の前で右往左往する羽目になる。結局どこでもいいから乗れ、という係員の指示で、他の乗客の視線を感じつつ、適当に座席に収まる。

 帰国組よりも先に出発。メインの滑走路から南西方向へ離陸。上昇しつつ左へ旋回しスバに向かう。操縦席のGPS表示で位置がわかる。快晴。


 北方上空から見たガリマーレの全景。

 11:35頃ナウソリ空港着。荷物を受け取り、出口で空港係員の斡旋でミニバスに乗車。9人全員と荷物が収まる。タクシーのトラブル防止で、空港係員が出ているのだろう。スバ・ホリディインまでFJ$80。思ったよりずいぶん安いとほっとする。(が、あとでKhasai先生に空港までは普通のタクシーなら20$か、せいぜい30$だといわれ、複雑な気分になる。)インド系の運転手は上機嫌でいろいろ話し出す。福島と仙台に行ったことがある、という話。

 レワ川の鉄橋はいつの間にか新しい方を使うようになっているので驚く。7月下旬の打ち合わせ時には竣工していなかった。運転手によると、やはり1ヶ月ほど前に開通したとのこと。古い方は歩行者専用にして、もう車は通さないのだそうだ。


 Rewa川の新橋。

 ホリディインは12:20着。急いでチェックイン。12:50再集合を指示するが、13時USPは難しそうだ。さっそく部屋からKhasai先生に15分くらい遅れるとメールを出しておく。

 12:55タクシー乗車、3台に分乗、USPへ。13:05頃USP着。メーターが動いていないので心配になって聞くと、USPまではFJ$2.50だから量るまでもないとのこと。よく知っている運転手のようで、理工学部だといったらいつもの入り口前にきちんと停車してくれた。2台目はすぐ到着。しかし、勝木先生、倉田先生の3台目がなかなか来ない。心配していると反対側から現れる。どうやら迷ってUSP構内の別のところで下車したらしい。

 13:15、受付へ。おばさんにKhasai先生を捜してもらうが、電話しても研究室にいないとのこと。じゃあわかっているから大丈夫といって、階下の地球科学実験室へ。先週一緒だったAlisiと話しながら、とりあえず実験室にいさせてもらう。13:25、いつのまにかKhasai先生登場。挨拶。実験室の標本や設備を見せてもらう。

 今回は生物系の共同研究の話で来たので、Khasai氏とそのことを話すが、運悪くWinder先生は不在らしい。先週、蝶の井上さんと話しているので、たぶん用は足りたものということで、学部長と面談。なんだか白川由美のようなインド系の年配のご婦人が学部長。ときどき話が早くてついて行けない。今年の実習のUSP学生はどうだった?と聞くので、「Very Good.」と答えたら、Khasai氏とふたりで爆笑する。やはり、特に一昨年の学生は評判が悪かったらしい。たしかに僕も文句を言ったがね。

 15:00、これから講義だというKhasai氏と別れる。学生が編集した学内新聞をもらうが、立派な出来なので驚く。暑いのでタクシーで行った方がいいだろうというアドバイスに従い、タクシーで下のMSPキャンパスに移動。1.50$で3台。

 海洋地質学のSusan先生を研究室に訪ねる。MSPの施設の案内をしてもらう。途中でエビの養殖事業に取り組んでおられる日本人の方に紹介してもらい、日本語で説明を受ける。養殖エビにウイルスの問題があるとは知らなかった。

 16:40ホテルにもどる。洗濯。17:30、2人の先生来訪。テラスで夕焼けを見ながら歓談。その合間に乾燥をかけて、衣類の半分を洗濯完了。快晴だったスバはいつの間にか西方の山並みに雲が湧き、曇っている。夕食に出る。スーザン先生おすすめの図書館並びのカレー屋さんは、運悪く月曜休業とのことで閉まっていた。仕方がないので帰り道の香港料理の看板を出している中華屋になだれ込む。なかなかの味で、安かった。


 夕暮れのスバ湾。ホリディインから。

 部屋に戻る前に、明日の予定を確認。9:00チェックアウトで、近隣のフィジー博物館見学などを回り、お昼にバヌアレブ組は出発、我々コーラルコースト組はホリディイン前16時発の急行バスで移動予定。

 移動で疲れたのか、21時過ぎに意識不明。0:30に起きだし、メール対応、写真記録整理、細々した作業。5:00に寝直す。

9/12

 7:30起床。というよりも、勝木先生の無線で起こされる。マップショップの話。風呂に入り、荷物をまとめる。8:50、勝木先生さっそくマップショップに行って、5万分の1の地図を持って帰還。等高線は粗いが、植生は塗り分けられていて、なかなか良くできた地図だ。

 9:00フロント集合だが、荷物のために数分遅れる。さらにチェックアウト処理が時間を取り、9:20頃全員集合完了。荷物を16:00まで預かってもらうよう、受付からポーターさんに頼んでもらい、タグを付けて小部屋に積み込んでもらう。

 政府の土地省のマップショップ。キオスクで朝食。ダルスープと小麦粉の延ばして焼いたロティ(ナンに似ている)1枚でFJ$1.50と安い。肉が入っていないとこの国ではとにかく安い。

 芝生のアルバート公園を歩いて横断。一角ではラグビーの練習をしている。ぐるっと回ってビデオの撮影をしていると、スタンドの上から大声で呼ばれて、みんなポーズをとって撮ってくれという。ズームをかけて撮影、手を降って別れる。


 アルバート公園。正面の木立の中にフィジー博物館がある。


 アルバート公園で出会った陽気な人たち。

 フィジー博物館に到着。非常に近くて助かる。学生5$、大人7$。荷物を受け付けで預かってくれる。最初の展示室は僕が簡単に展示物の解説をしながら歩く。ショップを通って2階建ての展示室へ。ショップで焼き物のお面の商品をいじっていた学生が、レジのおばさんに怒られる。商品なんだから触らないでよ、ということらしい。

 フィジー博物館を出て、サーストン庭園を抜け、ホリディインに戻り、休息。ゾロイスバに行った勝木先生たちを待つ。

 12:40、勝木先生と倉田先生到着。預けていた荷物を出すのを手伝う。すぐにナウソリ空港へ。我々はUSP組と市内出歩き組に別れる。USP組はタクシーでラウザラキャンパスへ。我々はまず市場へ向かう。市場で今日の食材を購入のあと、昼食を昨日休業だったカレー屋でとる。5.5$の昼食だが、おいしくてなかなかよろしい。ついでにスタビーを一本。14:20、ホテルにもどる途中の市立図書館へ。フィジーの地質の本を探すが、案内されたのは一般的なガイド本のあるところで、やはり市立図書館クラスでは専門書は期待できないということだろう。それより1964発行の、ホームズの一般地質学第二版が原書で置いてあったのが前回感激したところで、今回も探して発見し、安心する。

 15:30、ホリディインへ。すでに急行バスは来ていて、あわてる。コーラルコースト組のうち、USPに行った4人がまだ戻らない。待っているうちにどんどん乗客が乗り込み、席が埋まっていく。待っていられないのでポーターさんに頼んで荷物を出してもらい、先にバスのトランクルームに荷物を運び込む。15:45、USP組到着。乗り込む。後部の座席に固まって座る。料金は7人分僕がまとめて払う。1人14$で98$を50$二枚で払う。おつりが来ないのでFijianのお姉さんに請求する。だんだん客が増えて、パシフィックハーバーで座席の入れ替えをさせられる。僕は大きなフィジアンの隣に移動させられ、窮屈な思いをする。コーラルコーストに入ってワーウィック、ハイダウェイあたりでは、もう席がなく、小さい子どもはお母さんの膝の上に載せて、ぎゅう詰めにし、それでも座れない客は床に座る。我々7人がクロウズネストで下りるので、それまでの辛抱だ、と言って回っているようだ。

 アウトリガー手前できれいな夕日が見える。18:10クロウズネスト着。乗客が多いので貨物室のトランクから荷物がそろうのに時間がかかり、僕の大リュックは別の所に移されていて最初見つからず、探し回ってやっと見つけて下ろす。ほっとする。しかし佐藤先生が市場で買った1$のパパイヤは車内で棚から落ちて回収できず。僕は約50$の入ったチャックつきビニール袋を落としたらしく、そのことにあとで気づいて大いに凹む。レセプションに行き、チェックイン。なじみのお姉さんが歓迎してくれる。例によってスペシャルな14,15の部屋と、1番を割り当てられる。預けていた食材関係の箱を引き取る。さっそく夕食の準備。佐藤先生の青梗菜炒め。ご飯は僕が適当に炊くが、水を多めにしたため、焦げなかったものの少し残念な出来。スバのスーパーで買ったレモン味のツナ缶が好評。

 21:00、ごろんと転がってそのまま寝てしまう。

9/13

 6:30起床。朝食は佐藤先生の力作。8:20にイノケさんが手配したバンが到着。妙に運転手が神妙で、9/8の時と態度が違う。これはイノケさんが先日の件で何か言ったなと思い、今日のスケジュールを説明するついでに「Mr.イノケは何か言っていたか?」と聞いてみるが、「ただdropしてpick upするように言われた」とだけ返事。顔が動揺しているが、まあいいでしょう。8:30出発、8:40シンガトカで買い物。8:55シンガトカ発。トンガの近くの売店で我々を下ろすと勘違いしているらしいので、僕が指示して、畑の中の道に入り、川岸のいつもの木の下で停車。9:50到着。心配していたのか、ペナさんが街道まで出ていて、僕たちを確認して戻ってきて、ボートで渡してくれる。

 まずは村に行き、女子学生のためにトイレを借り、実習最終日に村のウイング事務所に置いてきたハンドオーガーを出してもらう。ペナさんと会計精算。本隊実習期間の渡し賃1日15$の4日分と、今日明日の渡し賃10$の2日分。それに今日明日の草刈りガイド代20$×2日分。今日のガイドはペナさんということらしい。

 10:13ハンドオーガーの包みをかついで建設予定地へ。ペナさんに草を刈ってもらい、中央の芝の生えた場所でハンドオーガーで粘土質の地盤の穴掘り。見ていても仕方がないので僕はN君と周囲の位置関係をGPSで測量。道路沿いを歩き、道のカーブのところでシンガトカ川に当たる石灰岩の斜面を下りる。11:20N君が見えなくなったので無線で呼ぶと、先に行ったのではなく、僕が進みすぎたらしい。11:30道路沿いの測量をそこそこすませると、今度は建設予定地の周囲のGPS測量を指示し、僕は掘削現場に戻る。予想外に粘土層が続く。

 13:00、昼食。木陰で休息。少し眠る。13:30、建築組のSさんとYさん、ペナさんに設計図を見せて何やら話している。


 図面を見せてペナさんにアドバイスをもらう。

 このあたりの畑は、粘土質で作物はキャッサバしかできないのだそうだ。一方、川に近い一段下の面では、野菜が取れてキャッサバには向かないという。段丘の地質の差、水はけや土質の差だろうか。たしかにキャッサバは粘土質のところで栽培しているように見える。この建設予定地には、自生するグアバの若木が繁茂し、刈らないとすぐヤブになってしまう。マメ科の下草が多いせいか、小さなシジミチョウが多い。乱舞している。多くはホリイコシジミだが、シルビアシジミも混じっているらしい。

 13:40、掘っている粘土が水っぽくなる。差し込んだピットが濡れている。ついに地下水面に到達したらしい。ペナさんも見に来て喜ぶ。水が出たおかげで土砂が滑って持ち上げられなくなり、これ以上の掘削は無理と判断。時間がないので穴にはビニール袋でふたをして、ハンドオーガーのパイプ類はシートで包んで、タワタワンジ村の管轄のキャッサバ畑にしまい込み、本日の作業は終了。14:30、建設予定地をあとにする。途中、ペナさんが山刀で馬を追う。フィジーでの家畜の扱いはずいぶん荒くてびっくりする。


 ハンドオーガーの掘削風景。

 時間があるので村に寄り、タワタワンジ村の水道で水を補給させてもらう。村の人々と挨拶。15:00、村を下りて渡河点に向かう。ペナさんが自分の畑でキュウリをもいで、お土産にくれる。ずいぶん大きなキュウリだ。15:15渡河完了。ペナさんと別れて、ワゴンに乗り込む。

 16:20、シンガトカ市場着、30分で買い物。16:50シンガトカ発、17:05クロウズネスト着。

 夕食は佐藤先生の鶏の腿トマト煮。キュウリの漬け物。ご飯は学生に任せるが、自信がないというので水加減だけみてやる。火の止め時も一応指示。・・・結局僕がやっている気がするが。


 本日の夕食。

 1:00目が覚める。ネットにつなぎ、掲示板の整理。記録整理。写真の確認、4:00寝直す。

9/14

 7:00起床。朝食は佐藤先生の卵焼きと野菜炒め、ご飯。

 8:30クロウズネスト発。コロトンゴ村の海岸は干潮のようだ。2003年に植えたマングローブの生育状況を眺めながら通過。形成年代に問題があるコロトンゴ石灰岩の露頭が海岸のあちこちに点々とある。シンガトカ・マーケット8:50。15分で買い物を済ませる。ガリマーレに向かって出発。9:50渡河点到着。今日はボートの渡し守に、若いお兄さんが待っている。背の高いテイレブ氏。対岸でペナさんが待っており、今日は彼がガイドだ、という。2人の女子学生の要望で、午後はタワタワンジ村の家屋見学をしたいというので、ペナさんにアレンジを依頼し快諾を得る。近道で崖を回り、建設地に向かう。10:10着。

 昨日は建設予定地の真ん中で水を掘り当てたが、その山側で掘削を開始する。僕はN君に指示して周辺の測量の作業。佐藤先生率いる、土木学生の掘削隊は、途中で岩に当たったり、5m掘っても粘土しか出なくて、苦戦。そうすると、山側から地下水が来ているわけではなく、河岸段丘全体に同じレベルで地下水がたまっていると考えるべきか。そうであれば、地下の水の移動方向を再検討する必要があるし、トイレの建設位置も再検討が必要だ。

 昼食、労働者は昼寝。僕たちは裏山の丘陵を一回りして下りて、GPSのデータ取り。その途中の藪漕ぎで、N君は手ぬぐいをなくす。汚いからいいか、とあきらめる。女子学生建設組は、午前は現地で建設計画のスケッチ、午後はペナさんに案内してもらって、タワタワンジ村の住居の状況をひとつひとつ見学。参考になっただろうか。

 学生がくたばっていても、佐藤さんが一人で掘削を試みている。復活した学生2人とさらに2ヶ所の掘削。14:30過ぎにあきらめる。水は出なかった。昨日の水の出た穴に行き、ハンドオーガーのピットの先に容器をくくりつけ、そろそろと下ろしていく。ぽっちゃん、と景気のいい水音。水サンプルを採取し、穴にふたをして、終了。きっとこの地下水の確認は、村の役に立つだろう。15:30、川を渡る。木の下で待っているワゴンに乗る。


 シンガトカ河谷に垂れ下がる雲。

 市場で買い物。16:50着。食べ物関係だけにして、お土産はあまり買わない。

 17:20、クロウズネスト着。明日の予定を運転手に話し、市場の他に2ヶ所ストップ各1時間、14:00にナンディで解放するよ、それでいいかい?と確認。いやにおとなしくOKという。イノケさんの薬が効いたのだろうか。

 佐藤さんは夕食の準備。残っている野菜を処理するため、青梗菜とキャベツの醤油味ソーセージ炒め。大根とキュウリの漬け物。デザートに凍ったパパイヤ。

 データの整理。22:00頃眠ったらしい。

9/15

 夜半、雨が降り出す。0:30頃からたたきつける雨音。干してあった靴を室内に移す。ベッドの上でwebの作業。メール送受信。4:50頃寝直す。5:30頃から入れ替わりに佐藤先生が起き出す。僕は7:00起床。

 朝食は佐藤先生が下準備して、女子学生が調理。これも勉強。キャベツとソーセージの和風オムレツと青梗菜炒め。カップ5.5杯の米を大鍋一杯に炊いて、山盛りご飯。余ったご飯はおにぎり。今日はカレブ・カルチュラルミュージアムとナタンドラビーチ経由でナンディ空港そばのトカトカに移動、夕食はgeologistのイノケさんのおうちに招待されている。

 9:00チェックアウトだが、手間取って出発は9:10。昨日のバンに荷物を載せて、シンガトカへ。9:20買い物と建築の学生の資材調査。Patelの店に同行し、店員に価格を聞き出すのを少し手伝い、自分の買い物でちょっとスーパーに行き、すぐに戻る。小雨がときおりぱらつく。9:45出発。シャングリラズ・フィジアンリゾート向かいのカレブ・カルチュアル・ミュージアムへ。10:00着。

 ガイドを頼む。コロレブの奥のNatewa?出身だというお姉さんが案内してくれる。1人15$、いつもながらちと高い。伝統家屋の見学。歴史と文化の説明。物騒な武器の由来と使い方。土器制作の話。魔術師の家の構造、酋長の家の構造。衣装、贈答用タンブーア、マットの作り方。トンガ・サモア・ニュージーランドの伝統家屋の比較展示。マシという紙の文化(一般にはタパ・クロスとして知られる)。僕はもう何度も来ているので特に驚かないが、学生たちはみな初めてで、どう感じたのか気になる。


 さまざまな様式の伝統家屋見学。

 10:50出発。ナタンドラへ向かう。途中、クイーンズロードからのナタンドラ方面への道の交差点の店で、運転手は自分の昼食購入。舗装された2車線の良い道を行くが、最短の入り口の道路が工事中で、引き返して遠回りしてナタンドラに入り直し、時間を食う。工事中だけでなく、今朝の雨でどろどろの道になっていて、やめようと判断したようだ。

 ヤシ園を通ってナタンドラ・ビーチに入る。建設したばかりの木造ブレが林立し、びっくりする。さらに、一昨年は何もなかった場所に、後背地の岡まで削って大規模な造成中。あまりの変貌にがっくり。11:40、車をナタンドラの小さな駅のそば(昔からあるリゾートの前)に停めて下りる。

 海岸に出る。満潮が14時なので、潮位がかなり上がってきていて、ざんねんながら珊瑚礁の構造はよく見えない。馬に乗ったおじさんが近づいてきて、学生たちがわっと取り囲み、乗せてもらおうとするのを見て、一昨年の小さなトラブルが頭をよぎり、あわてて駆け寄り、「その馬に乗るのは有料だよ!それでもいいなら乗っていいよ」と怒鳴る。「え、有料なの!?」と予想通りの反応。宿泊時にタワタワンジ村でいつもただで乗せてもらっているので、それが当たり前だと思いこんでしまっている。おじさんは商売時とばかり、2人で10$、1人5$で安いよ、と笑顔で誘う。そんなお金ないよな、といって学生たちは離れる。「ごめんよ、学生たちはお金ないからねえ」といって僕もその場を離れる。

 親切からなのか気になったのか、警官が寄ってくる。ここは僕が応対。「ずいぶん変わっちゃったねえ。僕は大学の講師で、学生たちを連れてきているんだけど、ここは地質学の勉強にはいいところでねえ・・」という話をする。大学の先生とわかった途端、警官が(一応)敬意を持った目つきに変わる。この国はいいところだ。教師を尊敬してくれる。Geologyの話をするとやっぱり尊敬してくれる。

 しかし、海岸線の一部を除いて、平地という平地は造成中。ひどいものだ。おまけに海岸には馬糞がたまっているところがあり、波に揺られてたゆたっているは、一部は汀線に打ち上げられているは、汚いこと。しかし馬の来ないSanasana村方向の奥に向かって進むと、昔と変わらぬ澄んだ水が打ち寄せるビーチになり、ほっと安心。


 造成現場。


 北側のビーチ。晴れ間が見えてきた。

 写真を撮り、ビデオを撮る。石灰岩のノッチは、水位が高くて近づけない。学生たちはヤドカリで遊んだり、珊瑚の破片や貝殻で遊んでいる。ところどころ蟹が空けたのか、大きな穴がある。12:30引き上げる。12:40ナタンドラ発、ナンディへ。ナンディは街に入らずバイパスで空港近くの交差点まで迂回する。サトウキビのトラックを何台か追い越す。空港のソバでサトウキビ列車に遭遇。13:40トカトカ着。


 サトウキビ列車。空港の横で。

 13:55部屋へ。学生たちにおにぎりを分けて、夕食でイノケさん宅を訪問するのに、集合を18時少し前、ケネディのマクドナルドに指定。イノケさんには電話するが出ず、ウイング事務所のカタリーナさんに先に電話。17:30に事務所訪問の了解を取る。学生たちは15時過ぎにナンディに向かって出発。16:30、バヌアレブに行っていて、今朝からビチレブ島北部をレンタカーで回っていた勝木先生と倉田先生が到着。レセプションからの電話で知らされる。やがて2人出現。荷物を置いてすぐにレンタカー返却に出発。

 17:25トカトカ発、タクシーでケネディへ行く。17:35ケネディ着。7$。カタリーナさんに事務所に入れてもらい、預けていた荷物のうち測量機器を回収。アルミフォイルや蚊取り線香、DVテープなどをデポジットさせてもらう。平板測量用の板がずっと見あたらないので探させてもらい、大騒ぎになる。他に、洗濯ひもやまな板などの入った箱、太陽電池用のバッテリーなどが引っ越しの際のどさくさで行方不明だが、まあ仕方がない。事務所兼住宅に住んでいるカタリーナさんには、だいぶ迷惑をかけてしまった。

 事務所で電話線を借りてネットにつなぎ、関係先にお礼と挨拶のメールを出す。トカトカからはネットにつなげないのがわかっているので、これが最後の送信。webも更新しておく。18:20、イノケ家へ移動。マクドナルドで待機しているはずの学生たちを無線で呼ぶ。イノケさんと奥さん、義理の息子さんの下の方が応対してくれる。白猫のトゥマも出てくる。

 インド風家庭料理をいただく。倉田先生はロティの作り方を奥様に教わる。イノケさんと僕は地質学の話で盛り上がる。彼がこのところ探査している鉱床の話。鉱脈が硬い岩層を避けて通るのは物性の問題で断層ではないことに気づいたという話。今回同行した学生の地学の試験成績が悪い話から、実践的な地学を学ぶことがいかに大事か、という話になる。イノケさんは高校を出て、鉱山に勤め始めたとき、MScを取るために調査していた人について一緒に山を歩き、測量して、何でもわからないことは彼に聞いて勉強したという話。彼は家のために高校を出てすぐに大学に進学しなかったので、結果としてDiplomaを得るのに、大学に行けば3年のところを10年かかったけれど、得たものは大きかったということらしい。

 イノケさんの園芸話を聞く。ダール豆のスープの豆は全部、家庭菜園での自家生産らしい。Yako villageに土地を借りて家を建てる話の算段がついたという。そのうちそっちに引っ越すよ、という話。そこなら調査場所に近いし、シンガトカ方面にも便利になるとのこと。彼が会社で使っているGPSが調子が悪く400mもずれるという話から、地図の話になり、デジタイズで数値地図がつくられて全土をカバーしているという話を聞く。興味深い。精度はわからないが、あればカシミール3Dにつっこんで、我々の仕事が非常に楽になる。

 20:50、記念写真を撮らせてもらい、辞去する。明日、イノケ一家はタブアの奥さんの両親の所に朝から行くので、見送りに行けなくて失礼する、とのこと。近所のマクドナルドまで行ってタクシーを探そうとするが、息子さんが知り合いのタクシーを呼んでくれる。先に5人、ぎゅう詰めでトカトカへ。あとからの4人は15分ほど遅れる。

 21:30、参加記録用紙を学生に渡し、宴会をしようとするが、学生がすでに疲れて寝ていたので中止。こちらも22時過ぎにごろんとベッドの上に転がったらそのまま意識不明。4:00目が覚める。冷蔵庫からビールを出し、スプーンの柄で開ける。4:10、空港にジェットの轟音が響く。成田行きFJ302になる、LAからの767-300が無事着陸したらしい。お湯を出して、浴槽に浸かる。今日はあと15時間、おそらく満席できつい時間を過ごすので、普通はシャワーだけで水を節約するのだが、今日だけはお湯をたっぷり使わせてもらう。他の2人は相当よく寝ている。疲れているのだろう。5:30ビールを飲み、6:20寝直す。

9/16

 7:30、起床。眠くてふらふらする。勝木先生のお土産の時季はずれのマンゴー、佐藤先生のパパイヤの他、昨夜イノケさんの奥さんにもらったロティとカレー肉、甘いお団子で朝食。全員分あるが、余る。残った4本のビールは学生と勝木先生で分配。

 8:50、チェックアウト、荷物を持って空港まで。無料の送迎ワゴンがちょうど来たので、倉田先生と学生5人はそれに乗って空港へ。教職員3人は荷物を自分で持って徒歩で空港へ。出発カウンターの到着はほぼ同時。ATSの谷さん、萩原さんがチェックインの荷物受付をしている。荷物を12個並べて、タグを付けてもらい、谷さんの案内で出国審査入り口へ。説明のあと、学生が頼んで記念に学生のS君や僕と一緒に写真に入ってもらう。9:20、出国審査を終えて待合室へ。頼まれものが若干あるので、ここで買い物。佐藤先生が学生のSさんに好評だったレモン味を含むツナ缶3種セットを見つける。5.95$とスーパーに比べれば高いが、それは仕方がない。僕も仕入れる。

 10:30搭乗開始。ほぼ定刻に出発。ほぼ満席で移動の余地なし。これでも谷さんの話によると、連休最終日の月曜帰国にしなくてまだマシだったということらしい。木曜の飛行機(金曜朝到着)の混み具合からすると、かなり大変なことになりそうだ。フィジーへの便そのものは、今年になって満席というのは珍しい状況なのだそうだが。(最初の満席は僕の7月直前下見の時らしい。つくづくついていない。)


 いつもの767-300。「タベウニ号」

 学生に座席を譲り、佐藤先生、勝木先生と僕とで3列の中央に座る。離陸すると窓からママヌザ諸島が見える。旋回し、青い空が見える。反対側の海の色が青い。昨日がこの天気であれば、ナタンドラの海はどえらくきれいだったはずだ。

 珍しく、機内のサービスが順調に進む。歯ブラシセットなどはこのところ配布されないので廃止になったとばかり思っていたが、復活したのか。昼食も前方座席のおかげで魚と鶏料理を選択できる。ありがたい。

 勝木先生から、イノケさんが実習のためのアレンジをカタちゃん経由で頼まれたのが1日前で、非常に大変だった、出来るだけ2週間前にしらせてくれないとアレンジできないよ、という話を昨夜、タクシーを待っている間にされたとのこと。昨夜、佐藤先生からも同じ話を聞いていたが、まあ、今回はばたばたで、出発1週間前にウイングからの連絡を受けてのアレンジ依頼だったので、仕方がないとはいえ、すまなかったなと思う。メールで謝っておこう。

 食事のあと、機内で映画。予定の2本に加え、サービスで南極物語ディズニー版。地質学者(隕石学者)の採集に関するクレージーぶりが、それらしく強調して表現されている。7月に見たものと同じだが、なかなか良くできている。

 日本時間13時。今日はフィジーはどんな日だっただろう。成田へはあと4時間足らず。

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H.Hagiya 2006.9.13-